Farm Yamaのお金にまつわる考えかたをなるべく正直に、そして誤解のないようにお伝えしたいと思います。わたしたちは日々お金と関わって生活しているにもかかわらず、じつはお金についてじっくりと考えたり学んだりすることがとても少ないのではないか、という問題意識をもっています。お金は日常の暮らしにおいてもっとも身近な存在でありながら、お金についてオープンに話したり、有効な使いかたをみんなでアイデアを出しあったりすることにどこか抵抗感を感じているひとも多くいることでしょう。
馬のような大型動物が天寿を全うするにはさまざまな費用がかかります。たとえば一週間分のエサは約1,000円、一ヶ月で約4,000円。削蹄(伸びた蹄:ひづめを削る作業)は一回約6,000円、健康診断には10,000〜15,000円ほど、体調が悪くなった場合、馬専用の運搬をする車両(馬運車:ばうんしゃ、と読みます)に乗せて数少ない馬の診療をしている動物病院に連れていくには、移動距離や緊急度にもよりますが一度に10万円ほどを見込みます。他にも馬着(ばちゃく:季節に応じて着せる羽織もの)は一着20,000〜40,000円などです。人間にくらべれば食費も、住む場所も、着る服も、ずっと安く、少なくてすみますが、まったくの野生で暮らす馬でないかぎり、人間が稼いで貯めたお金をつうじてしか生きる糧をえられないのがまぎれもない事実です。

馬、というと一般的にどんなイメージを思いうかべますか。人々に興奮と感動をもたらす競走馬たちの活躍や、華やかでキラキラしたスポーツ・娯楽としての乗馬、あるいはお金に余裕のある資産家の代名詞ともいえるでしょう。現代以前はどの時代も馬は家族として共に暮らしながら、トラクターの登場までは畑を耕すための貴重な動力として、車が普及するまでは遠く離れた場所までの移動手段として(エンジンのパワーを表現するのに「馬力」ということばを聞いたことがあるでしょう)、さらにさかのぼれば世界中の戦争や日本の戦国時代にも馬は重宝されました。おじいちゃんやおばあちゃんに話を聞くと、若い時に馬と暮らした思い出を聞けるかもしれません。
しかし現代社会では馬との接点は娯楽が最も多く、馬と人の家族としての繋がりはいつしかなくなりつつあります。移動のために馬車を必要とせず、土地を耕すのに馬の助けも必要なくなり、馬の役割と関係性は大きく変化しました。
どこかに極悪な人や組織があるという気になってしまいそうですが、問題の黒幕は実は私たち一人一人の何気ない選択や言動なんだと思います。私たちが適切な環境にいる馬たちとの関わりを選択するならば、そうでない環境は改善せざるを得ません。
犬や猫の殺処分ゼロが進む中、馬たちのほとんどは殺処分されています。それはなぜなのか、適切な環境とはどんなものなのか。正解がないから私たちが創造力を発揮してつくりあげていけると思うのです。一緒につくりませんか、馬も人もあたりまえに幸せに暮らせる世界。

たまたま恵まれた環境に生まれてきた馬にはじゅうぶんなお金がまわってくるかもしれません。しかしそのような豊かな環境で暮らせる馬たちはほんのひと握り、ありえないほどの偶然と幸運がかさなってはじめて起こる、まさに奇跡といえるでしょう。そんな小さな灯火(ともしび)をたやさぬよう、行き場のない馬たちを個人で引き取った人たちは、馬のためにお金を確保するために自分たちの生活が後回しになることもあるはずです。
いったい誰が、どんなふうにお金を集め、困っている馬や人、必要な場所に届けられるでしょうか。馬と人の生活を豊かにするために、どのようなお金の流れをつくりだすか。いまわたしたちが取り組んでみようとしているのは、とてもシンプルに、つながりをもったみなさんからの善意にもとづいた寄付です。不特定多数の注目を集め、グッズなどのリターンがあるクラウドファンディングでもなく、事業への出資などでもありません。単純に支援をしたいと思ってくれたみなさまから寄付をお預かりして、馬たちと、馬たちのために働く仲間に届け、そのお金を使ってもらうことで、わたしたちは本来のお金がもつ価値に気づくことができると信じています。
寄付で集めたお金の具体的な使いみちは大きくわけて3つの方向性があります。まずはじめに、受け入れる馬たちの日々の飼養管理(健康に生活してもらうためのすべてのこと)にかかる費用です。生活の土台となり、毎月かならず継続して捻出する必要のあるだいじな使いみちです。つぎに万が一に備えた医療費です。残念ながら人間でいうところの健康保険のような仕組みはありませんので、すこしずつでも積み立てができると安心です。さいごに施設の設備投資です。敷地から馬たちが道路に飛び出ないように安全のための柵を設置したり、馬のおうち(厩舎:きゅうしゃ)と個別の部屋である馬房(ばぼう)を建てるためにまとまった資金が必要になります。

きれいごとだけでは大型動物を育ててはいけません、それがわたしたちがこれまでに学んだ現実です。だからこそ、お金の問題を避けては通れません。適切なお金の流れは選択肢を増やし、可能性をひろげます。馬と人が幸せに生きていけるようなお金の使いかたを一緒に学んでいきましょう。
まだ始まったばかりのプロジェクトではありますが、インターネットを介してかんたんに寄付ができる仕組みを用意しています。こちらのボタンから進むと、クレジットカードやApple Pay、Paypalで支払うことができます。ご不明点や気になることがある場合は事前にこちらのメール(sho@farmyama.love)宛てまでお気軽にお問い合わせください。みなさまからの温かいサポートをお待ちしています。